『歯磨き後に 濯ぎ洗いをしない歯ブラシ』 『洗剤もつけず、濯ぎ洗いしただけのコーヒーカップやスプーン』 『交換や殺菌消毒していない花粉用マスク』、貴方はこれらをどれだけ永く使い続けることが出来ますか?

 

  ダイビングサービスに勤めていた時、「タンクの空気が臭い」との苦情を受けたことがありました。確認したところ 充填空気自体に問題は無く、もしやと思い ゲスト(某ショップ)のレンタルレギュレーターをそのタンクに取り付けて空気を吸ってみると、あまりの臭さに吐き気をもよおしました。洗浄不良と言うよりは無洗浄によるセカンドステージからの悪臭でした。

    * ダイビング中は、マウスピースを銜えたダイバーの口元からプライマリー(自分使用のセカンドステージ)に 相当の唾液が流れ込みます。また 海水中には多くのプランクトンが生息しています。ダイビング終了後 必ず流水洗浄を行っていても、これらを全て取り除くことは出来ず、微量ながらも蓄積して行きます。

  『吐き気をもよおす程の悪臭』というのは 特異な例ではありますが、案外 自分の「匂い」って 分からないものかと‥。

  それに近頃は タンクにレギュレーターをセットした時点でのエアチェック(実際に空気を吸っての作動確認)を行っているダイバーを殆ど見かけません。器材装着に慌しい中でのエアチェック、または エントリー直前のマスクを着けた状態でのエアチェックでは、『異臭』を感じ取る余裕などありません。

 

  試しに 御自分のスノーケルをチェックしてみては如何ですか?

  今お使いのスノーケルを分解し、暫くぬるま湯に浸けた後 取り出して、その内側を綿棒などで擦ってみて下さい。そこにこびり付いているのは、雑菌を多く含んでいる唾液の成れの果て。シリコンの「変色・濁り」は、太陽光線によるものとは限りません。

  ダイバーは レギュレーターをスノーケルの何十倍も長く使用しています。このことからも レギュレーターやバディに対して、オーバーホールという「気配り」をする意味があるかと思います。

    * タンクバルブに取り付けるファーストステージは タンク圧(200気圧)を桁違いに減圧するので、各部分には大きな負荷がかかります。

    * シェアエア・セカンドステージ[オクトパス]に至っては その多くが海底を引き摺られた挙句に 使っていないからと碌に洗浄も行われていません。

 

  オーバーホールの頻度については、ダイビングスタイル等 各ダイバーの諸条件により異なりますが、エントリーを前にして 作動不良が原因でバディやチームに迷惑をかける事の無い様に 器材を維持・管理することは、ダイバーのマナーのひとつではないでしょうか。

 

 

ご意見・ご質問等ございましたら、下記アドレスまでお送り下さい。

            scuba@piston-diaphragm.com