『潜水計画』

 

 

  私が受けたOW講習のファイナルチェックは、「潜水計画の実施」だった。

 

(前日)

  これまでに行った実習項目を順序通り 水中ノートに書き写す。ログブックはB5サイズで見開きの左側がプレダイブ、右側がログになっている。潜水地、目的、バディ名から始まり、潮汐、コンパス方位、距離、水深、水面空気消費率に基づく潜水可能時間、潜降開始・浮上完了予定時間 等々を記入する。

 

(当日)

  朝食および出発時間は 既に決まっているので、それに間に合う様に 天候に応じた場所を選び、バディで器材チェックとセッティング練習、荷造りを行う。インストラクターは立ち会うのみ。雨や寒さが厳しければ スーツを着て行くか、現地で先に着替えるか・それに適した場所は? 等もバディで相談して決める。

  海に着けば、季節・天候に応じたベース(基地)を決め、防波堤の先端まで行き 海況を確認する。潮汐も考慮してエントリー・エキジット方法を決める。器材を広げてセッティングし、チェックする。

  スーツに着替え、3点セットを使って水なれをする。先に決めたエントリー・エキジット方法は正しいか? 透明・透視度は? 自身そしてバディの体調は? 耳抜きは出来たか? そして ダイビングに参加するか否か、自身の最終判断を固める。

  得られた情報は 水中ノート、または ログブックのプレダイブ欄に記入する。

 

  1本目。バディサポートを受けながら器材を装着し、エントリー。ブイまで コンパスを使って水面移動。到着後、水中ノートの記載に順じて 実習を始める。2種類の潜降・浮上から始まり、BCDやウエイトの水底脱着、シェアエア、コンパスワーク3パターン 等 多岐に亘るので、1ダイブでの完了は難しく、タンク残圧や潜水予定時間に応じて中断し、コンパスを使って水中遊泳で帰港、エキジットする。

  2本目。ブイまでの往復は水中遊泳。ブイの下で残りの実習を消化する。

 

  インストラクターの担当は 1バディのみで、円滑に進まない・危険が伴う場合を除き、一切介入しない。複数の場合は 他のバディを アシスタントと共に陸上に残し、バディ数×2ダイブ を行っていた。

 

  潜水経験10本にも満たない講習生にとっては かなり厳しいものとも思えるが、実際 やってみると それ程でもない。

    * 概ね コンパスワークは 上手くいかないが‥。

  何故なら 講習の初日から、どのインストラクターが担当しようとも、寸分違わぬ行動パターンが繰り返されるので、特に秀でた能力が無くとも 講習生(バディ)は、それを真似ればよいのだ。

  「やって見せて、言って聞かせて、させてみて‥」を教える側がシステム化している。

 

  当然 OW講習なので、学科に 潜水計画の詳細は載っていない。しかし このスクールのAD講習のファーストダイブはプレチェック、つまり OW講習ファイナルチェックの再現になっているので、これに学科(潜水計画の詳細)と実技(ナビゲーション 等)が加わることで、一人前のダイバーになるためのスタートラインに立つことが出来た。

 

  これに対して 今時のダイバーはどうだろう? 本物を見たことがないのだから、残念ながら 紛い物になることすら、難しかろう。

 

 

 

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