『ハタタテダイと遊ぶ』

 

 

  岩場から遠く離れた砂地に設置した イカの産卵礁用フロートには、春になると 思わぬお客さんがやって来る。それは ハタタテダイの群れだ。体長数センチ程で、フロート1基に およそ20〜30匹。大掛かりなフロートを設置すれば、50匹以上の群れが付くこともある。これにご協力願って『一方的に』遊ぶのだ。

 

  遊び方は 極めてシンプル。ひとりのダイバーが、中層に漂うハタタテダイの群れを如何に数多く、1ヵ所(水底近く)に集めるか、というもの。しかし これが なかなかにテクニックを要する。

 

  集める際の基本動作は‥、

     ダイバーは、素早く群れの上層に移動する。

     胸と両腕を使って、群れに半球状の物体が覆いかぶさるかの様なプレッシャーを与えながら、水底へと降下・誘導して行く。

     水底付近で群れをバスケットボール大に纏める。

    ☆ 予め決めた地点に降下(集合)させる、タイムを競う 等のオプションもあり。

 

  注意すべき点は 群れとの間合い(距離)と、両腕 および 掌の使い方。

  当然の事ながら ダイバーには、ハタタテダイを上回る機動力が求められるが、間合いが近すぎれば 群れは離散し、遠すぎると逃げられて、 いつまで経っても集められない。また 不用意な腕の振りは、群れの動き(進路)に影響を及ぼす。そして 小さく纏める際には、掌の動きが物を言う。

 

  出来れば初心者は、春先の まだハタタテダイの幼い[泳力の弱い]時期に その『集めるコツ』を掴んでおくことが望ましい。成長と共に泳力が増し、初秋ともなれば 群れのコントロールは遥かに難しくなる。

 

 

  水族館とは違い、同じ空間(水間)に居られるダイビング。集める際のハタタテダイの姿、形から 「ヒェ〜」とか「ア〜レェ〜」とか「ヤバイヨ、ヤバイヨ」とかいう表情を感じ取ることが出来る様になったら、より大型の魚との間合いの詰め方を模索する。こうして魚との物質的・精神的距離を縮めることで、ダイビングがより一層楽しいものとなる と確信している。

 

 

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