『東京港水中生物研究会』

 

 

  2ヵ月に一度、奇数月の最終日曜日に東京港水中生物研究会が開かれる。

  観察定点は 2ヵ所。午前が港区台場の『お台場海浜公園』の一角(北駐車場近く)で、午後は品川区東八潮の『青海北埠頭公園内 係留展示船(青函連絡船「羊蹄丸」)近く』(船の科学館隣り)へと移動して潜る。

 

  一般的なダイビングスポットとは違い、同会主催者は 各行政機関への申請を定期的に行わなければならず、その手続きは大変な様で‥、

  まず 海(東京港)の使用に関しては 東京都港湾局。そして お台場海浜公園の使用に関しては 同建設局(おそらくは公園緑地部 管理課)への申請と、日本財団 船の科学館への施設使用の申請。更に 東京都知事の特別許可。最後に東京湾(港)の安全管理の総元締、海上保安庁第3管区海上保安本部東京海上保安部への申請と、事前・事後(ダイビングの開始・終了時)の通知 等が必要となるらしい。

 

  これがお台場海浜公園。ここは中央区銀座から南に、直線距離で 僅か4kmの位置。写真手前 砂浜から エントリー、エキジットを行う。正面左側には、皆さんご存知のフジテレビ社屋。右側には『お台場』命名の由来となった、江戸時代末期に造られた砲台跡。そして 手前砂浜の背後には高層マンションが林立し、そのため新設の小学校があり、校外学習として水辺で海苔の養殖を行っている。この様な およそダイビングには似つかわしくないロケーションとなっている。

  砲台跡が張り出しているので、公園は入り江の様になっている。夏でも遊泳は禁止。園内への船舶の進入も禁止。写真で示すところのフジテレビ側に公園管理事務所があり、職員がそこから絶えず園内を監視している。バーベキューの煙でも上がろうものなら、即座にスピーカーで警告が連呼される。以前 写真左側にあるゴムボート(申請に伴い準備した救命用)を遊び半分に漕ぎ出したところ、たちまち警告を受けたそうだ。

  更に 別の角度からもう一枚。正面左側がエントリー・エキジットポイント。中央奥に見えるのは、レインボーブリッジの主塔。左側に砲台跡。その奥に見えるのは、対岸の品川区天王洲の湾岸ビル群。

  これら写真の撮影時期は3月で 当日の水温は12度と、この年は例年よりもやや低目だった。撮影した時間帯が早かった またやや冷え込んだ春先だったとは言え ここは商業施設からはかなり離れているので、天気が良くても人影は疎ら。

 

  観察・研究は、主にエントリー・エキジットポイントかが砲台跡側で行われている。

  海況については、例え台風が接近していようとも うねりは無いが、透明度は 良くて3〜4m、それも年に数える程で 平均は1〜2m。透視度に至ってはそれ以下。水温が上昇すれば 濁りは急激に増し、例え快晴、炎天下の昼間でも 夕暮れか、はたまたナイトダイビングを上回る暗さとなる。因って 水中ライトは必需品。

  ならば 比較的水温の低い時期は水が澄んでいるのかと思えば、必ずしもそうではない。一時的に水が澄んで水中に光が差し込むと、植物プランクトンが一気に活性化して 透明・透視度が落ちるのだ。

  水温は 夏が28度で、日向水状態。冬には 時に10度を下回ることもある。正に 東京湾最奥部のお台場ならではとも言える。

  波打際は僅かに砂地で、その先の水底には ヘドロが厚く堆積しており、海藻の類は生えていない。

    * こんな海況で スクーバダイビングなら未だしも、よくもまあ トライアスロンのスイム(水泳)を行うものだと関心する。

  中性浮力やコンパスワークが出来ない、バディコミュニケーションが取れないダイバーにとっては、極めて過酷な環境と言える。

 

  もうひとつの観察定点、『品川区東八潮 青海北埠頭公園』については後程。

    * 写真は、船の科学館展望台から撮影したもの。

 

(追記)

  2011年4月から 東京港水中生物研究会は、月例最終日曜日の開催となります。なお 参加に際しては 日本水中科学協会会員、或いは その推薦が必要です。

 

 

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            scuba@piston-diaphragm.com