ここで紹介する方法では 「鼓膜」「圧力」「圧平衡」といった 難解な言葉は一切使いません。また これを実践することで 子供には『耳抜き(バルサルバ法)って こうやるんだ』とそのやり方を、教える側には『それが正しく行われているか否か』を目視確認できるという利点があります。

 

(手順)

0. 「深く潜ると耳が痛くなる。その痛みを無くす方法教えます」程度の前置をします。

    * 「何故 耳が痛くなるのか」といった内容は一切省き、説明を求められたら 後程答えます。

1. 深く大きく息を吸い込む事、鼻をしっかり摘む事、鼻に空気を強く送り込む事、を口頭で簡単に伝えます。内容に深く踏み込む必要はありません。

    * 「しっかり鼻を摘んで鼻をかむ様に」でも結構です。

2. 教える側は子供の前で 1.の動作をやって見せます。但しその時、『鼻筋がしっかり[ウズラの卵大に]膨らむ』様子を 子供に見せて下さい。

    * 少なくとも 2秒以上、鼻筋が膨らむ様に 鼻に空気を送り込みます。

    * やって見せる際に、鼻筋を軽く触らせて(指を添えさせて)膨らむ様子を子供に体感させると良いでしょう。

3. 実際 子供に耳抜きをさせて、その時の鼻筋の膨らみ具合を確認します。

    * 2人1組でバディを組み、お互いの鼻筋が膨らむ様子を目視、または お互いの鼻筋を軽く触らせて(指を添えさせて)その膨らみ具合を確認させても良いでしょう。

4. スノーケルのマウスピースを銜えた状態から耳抜きをさせて、再度 鼻筋の膨らみ具合を確認します。

    * 口が開くと 鼻に空気が送れない子もいるので、これを追加しました。

5. マスク、スノーケルを装着して耳抜きを行います。

    * マスク越しだと 鼻を上手に摘めない子もいるので、これを追加しました。

 

(注意)

  この説明手順は あくまでも『耳抜き(バルサルバ法)が正しく行われているかの確認』を目的としたもので、『これでこの子は水中での耳の圧平衡が出来る』という事ではありません。耳の抜け具合(圧平衡の程度)には個人差があるので、『行為・行動』が正しくても 『結果(圧平衡)』が伴うとは限りません。ご注意下さい。

  水中で耳抜きが出来ない場合には、『顎を動かす』『唾を飲む』等 他の圧平衡法を併用して下さい。

 

(補足 1)

  経験の浅いダイバーの中には、実は「耳抜き(バルサルバ法)が不完全」なために耳が抜けない[抜け難い]といった事例が少なくありません。その様なダイバーにとっても、自身の『鼻筋の膨らみ具合』を確認することで「耳抜きの完成度」をチェックすることができます。

 

(補足 2)

  レンズが楕円単眼 もしくはクリアシリコン製のマスクならば、相手に接近することで 『耳抜き(バルサルバ法)の動作(正しく行われているか否か)』を鼻筋の膨らみ具合から確認出来る場合があります。浅深度での耳抜き実習(スキンダイビング)や 潜降時の耳抜き動作確認(スクーバダイビング)にも役立ちます。

 

 

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            scuba@piston-diaphragm.com