BCDを選ぶ上で重要なことは フィット感(しっかり体に装着できるか)です。
ウエストポーチやバックパック等は、小物や荷物を入れても フィット感が損なわれることはありません。何故なら 荷物室が内側(体側)に膨らまない様に素材を立体裁断・縫製しているからです。また 高級なダウンジャケットは 大きさの異なる表地と裏地を立体縫製し、その空間にダウン(羽毛)が入っているので 裏地が皴にならず、金額に見合った着心地が得られます。
これに対して リバーシブル・ダウンジャケットの様な 「外袋の内側外側を2枚の同型素材を裁断・縫製した」BCDは 装着後にパワーインフレーション(強制送気)を行うと、空気室(エアバッグ)が内側に膨らみ 体を圧迫します。この様なBCDを装着したダイバーは その不快感を避けようと、BCDを緩く装着するので‥
BCDがズレる(=タンクが背中で左右に動く)→体の水平バランスが崩れる→補正のために体を動かす→運動量増加、心拍数上昇→疲労・空気消費量・ストレスの増加→パニック予備軍、
といった様な弊害が 事あるごとに起きてしまいます。
(更に‥)
《左図》は タンクに取り付けれ、エアバックが一杯に膨らんだ状態のBCDを 上から見たものです。
* エアバックは外袋に覆われていて、一見しただけでは 容易にその形状を確認することはできません。
(A)に比べて (B)の様に エアバックが細分化されたBCDは、「エアバックが膨らんだ状態」でも 先に述べた「不快感」の元となる「内側への膨らみ」を最小限に抑えることができます。
* (A)に比べて 「外袋の立体裁断・縫製」「エアバッグの細分化」をした(B)のBCDの製造コストは割高です。しかし不思議と (A)(B)間に目立った価格差はありません。
* レジャーダイバーにとっては『水面での安全の確保』に必要な浮力さえあれば十分です。必要以上に大きいエアバッグは不要です。
+ レギュレーター、スノーケルを使わず、フィンキックも行わず、BCDの浮力のみで呼吸が確保される状態。
この様な理由から 『外袋が立体裁断・縫製されている』ことに加え 『エアバックが細分化されている』製品こそが、「空気(浮力)を身にまとう」BCDの最上級品と考えます。
選び方 : ジャケット[ベスト]型BCD
* 『外袋の立体裁断・縫製』は一見すると判りますが、『エアバッグの細分化』については「試着」が最良の確認方法です。
1. ある程度 商品を絞り込む(価格、デザイン 等)。
* 見るからに立体裁断・縫製していないもの(内側外側の素材が同型)は除きます。
2. ディスカウントショップで試着する。
* 他系列数社を回れば、大半のBCDはあります。ダイビング・ショップは仕入経路や利益率の関係上、商品に偏りがあり 品揃えが少ない。または友人・知人のBCDを試着する。
* 自身にあったサイズを選び、各部ベルトをしっかり締めて試着します。この時 お持ちのスーツ(インナーも含む)の厚みも考慮します。
* BCDに空気を満充填(オーラルorパワー・インフレーション)してフィット感の違いを確認します。若しくは 先に満充填の後 しっかり装着、空気を抜いて フィット感の違いを確認しても結構です。
3. 『肩周辺部のエアバッグが大きなもの』は避けましょう。
* 水中におけるダイバーの基本姿勢は、「中性浮力、トリム水平」です。この時 タンクやウエイトの重さ(沈む力)は 背中やウエスト周りにかかります。肩周辺部のエアバッグが大きいと そこに浮力が集中し易く、上体が起きてしまします。この姿勢で遊泳すると、フィンの推進力により体は水面方向に向かうので、ダイバーは中性浮力のとれたBCDから空気を抜くこととなります。こうなるとフィンキックには 『(上体が起きたことによる)体表面積増加に伴う運動負荷』と『不適切な中性浮力を補うために生じる運動負荷』がかかり、結果 ダイバーの肉体疲労や空気消費量の増加を招きます。
* 水面での安全確保(直立休息姿勢)とは レギュレーターやスノーケル、フィンキックに頼る事無く呼吸ができる状態、つまり 両肩が明らかに水面上にある状態です。因って水面上に出てしまう肩周辺部のエアバッグは浮力を受けず、何の役に立ちません。
☆ 私個人として オクトパスインフレーターはお勧めしません。
* 参考 『シェアエア・セカンドステージ(オクトパス、セーフティセカンド)』
バックフロート型BCDは フィット感が変わることはないのですが、空気室[浮力]が背中側に集中しているので、水面での安全確保(直立姿勢)において 前後方向のバランスが崩れている[体が前傾してしまう]ものもあります。より多くの情報を収集して下さい。
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