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(備考)

  レギュレーターの基本構造と作動原理については、以下を参照して下さい。

           『レギュレーターの基本構造と作動原理 1』

           『レギュレーターの基本構造と作動原理 2』

 

 《左図A》は、スタンダードバルブの内部構造を表したものです。

  ファーストステージで減圧された圧縮空気(黄色)は、スプリングの張力を受けたピストンによって放出を抑えられています。ダイバーが吸気を始めると ダイアフラムが引き寄せられ《左図》、これと連動するデマンドレバーは『てこの原理(支点力点作用点)』を利用して ピストンを《図の左方向に》移動させます。つまり デマンドレバーの長さやスプリングの張力の強弱は、ダイバーが受ける『吸気時の負荷』の増減(=吸い心地の重さ軽さ)に少なからず影響を与えます。

    * デマンドレバーの「支点から力点までの長さ」を長くすれば スプリングを楽に縮める(=吸気時の負荷を軽くする)ことができます。しかし デマンドレバーが長くなれば、ケース 即ちセカンドステージ本体が大きくなってしまいます。同じく スプリングの張力を弱めることでも「デマンドレバーの短縮」と同様の効果が得られますが、弱め過ぎれば 圧縮空気の放出を許してしまいます。

 

 《左図B》は、バランスバルブの内部構造を表したものです。

  バランスバルブでは ピストンシリンダを取り付け、一次減圧された圧縮空気シリンダ内に送り込みます。この内部圧力を利用してピストンを《図の右方向に》押すので、スタンダードバルブに比べ スプリングの張力を弱くする事が可能になります。

  ダイバーが吸気を始めると ダイアフラムデマンドレバー(てこの原理)と力が伝わり、ピストンが《図の左方向に》移動して 一次減圧された圧縮空気が放出されます。この時 ジリンダ内の圧力は周囲圧と同圧になるので、圧縮空気を利用してピストンを《図の右方向に》押す力は無くなります。

  結果 バランスタイプの ピストンは、「スタンダードバルブよりも弱い」スプリングの張力たけを受けることとなり、ダイバーが受ける『吸気時の負荷』は 部分的に軽減されます。

 

【バランスバルブの効果】

吸気開始時(吸い始め)の負荷は スタンダードバルブと変わりませんが、吸気中の負荷を軽減できます。(上記参照)

の『吸気中の負荷を軽減できる』(=スプリングの張力が弱くなった)ことから、逆に スタンダードバルブよりもデマンドレバーの長さを短くして、セカンドステージ本体を小型化することができます。

    * デマンドレバー力点ダイアフラムの中心にあります。仮にデマンドレバーの長さを1?短くできれば ダイアフラムの直径は約2?小さくなり、ケース 即ちセカンドステージ本体を小型化できます。(90年代後半以降のセカンドステージに顕著)

    * この場合 限られた効力を小型化に使ってしまうので、 ダイバーが受ける『吸気時の負荷』は スタンダードバルブと同程度になってしまいます。

(保管中) スプリングの張力の軽減により バルブシートの変形(交換時期)を抑える(遅らせる)事ができます。

    * 圧縮空気吐出口[オリフィス]とピストンとの接触面に用いる合成ゴム[シリコン]製のパッキン(気密保持用素材)です。

 

(注意)

  ダイバーが受ける吸気時の負荷や圧縮空気の放出量には ファーストステージの一次減圧値や吐出能力、(セカンドステージの)ダイアフラムの大きさ、デマンドレバーの形状、シリンダピストン)の大きさ、スプリングの張力 等が複合的に作用します。因って セカンドステージにバランスバルブを採用しているからといって 必ずしも『吸い心地が軽い』『空気の供給量が多い』訳ではありません。

  バランスバルブはスタンダードバルブに比べ 割高です。セカンドステージの小型化を望むダイバーには願ってもないことですが、『高価格=高性能』といった ダイバーにとっての費用対効果がイコールになるとは限りません。

 

 

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